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相続財産を調べよう
  〜相続人の協力ナシには一歩も動けません〜

  相続が始まったら、まず手をつけるべき事の一つが、この「相続財産の確定」です。
  (実務的には前項の「相続人の確定」と同時並行的に行います)

  相続財産にはどのようなものがあるのか、現在どのような状態にあるのか(使用者や占有者、
  管理者はあるかなど)等についての調査、確定です。

  財産が確定することナシに相続の話し合いは始められませんから、非常に重要な調査です。

  ※相続人の協力

  相続財産調査の第一歩は、聞き取りによる情報の摺り合わせです。

  各相続人が持っている被相続人の財産に関する情報を全て出さなければなりません。

  遺産相続は被相続人に属する全ての権利・義務について行わなければなりません。

  遺産分割協議や相続手続が終わってから新たな遺産が見つかってしまうと、再び遺産分割協
  議することになってしまうことにもなりかねません。

  また、遺産を隠匿しても再協議の必要が出てきます。

  ですから、まずはそれぞれの相続人が持っている情報を持ち寄って、相続財産確定の端緒をつ
  けましょう。

  ※紙の精査

  これとほぼ同時にやるのが、「紙の精査」と呼ばれるものです。

  これは、被相続人に関わる“紙”(文書や郵便物、場合によってメモの果てまで)を徹底的に調
  べることです。

  財産関係は、なんらかの形で書類として残っている場合が多いです。

  代表的なところでは、不動産の権利証や預金通帳などが挙げられます。

  そのほかにも、固定資産税の評価証明書や納付書を含めた税金関係の文書、利息計算書や
  配当通知書などの財産関係の書面、ローンの支払い通知書や残高明細などの負債関係の文
  書など被相続人の資産・負債に関するあらゆる書類を精査する必要があります。

  それらの「紙の情報」と相続人が持つ情報をすべてつき合わせた上で、相続財産の範囲を確定
  していきます。

  ですから、相続財産調査の端緒は、相続人、相続人間の協力が不可欠なのです。

  ※現状の確認

  相続財産のある程度の全体像がつかめたところで、次は現在の状況の確認です。

  不動産の現状確認

    まず固定資産税の通知書や相続人の情報によって不動産の場所を特定した上で、市区町
    村役場で固定資産の“名寄帳”を取り寄せます。

    名寄帳とは、その市区町村(自治体)における不動産所有者の一覧表であり、未登記の建
    物でも固定資産税の課税対象になっていれば記載されているので非常に便利なものです。

    被相続人の中には“隠し財産”として相続人の誰にも知られないように不動産を所有してい
    た、といったケースも散見されますので、名寄帳の取り寄せは非常に重要な作業です。

    名寄帳で不動産の存在を確認したら、続いて不動産の登記簿謄本と固定資産税の評価証
    明書を取り寄せて不動産の現状を確認、把握します。

    またこれらの書類は、相続手続でも使用しますので必ず保管してください。

  預貯金の現状確認

    預貯金については、預金通帳、貯金通帳、残高証明書、利息計算書などの書類から、取引
    金融機関を特定し、その金融機関に対して相続の開始を告げた上で“名寄せ”を依頼します。

    金融機関における“名寄せ”により、その金融機関における取引状況(口座の開設状況や定
    期預金、金融商品などの契約状況)のすべてを確認することができます。

    相続人が知らなかった預金や金融商品などが見つかることも、たまにあります。

  有価証券の現状確認

    証券会社屋信託銀行などの金融機関を通じて株式や公社債を購入している場合は、その
    金融機関から運用状況の通知書などの書面が発行されているはずですので、それを元に
    金融機関で確認することができます。

    また直接出資や社債購入などをしている場合は、出資や貸し付けている会社からの通知が
    届いているはず(株主総会の案内状や社債の償還状など)ですので、それで特定し、その会
    社に直接確認します。

  債務の現状確認

    直接被相続人が追っている債務は、通知書などの書面が残っていますが、連帯保証債務や
    連帯債務などの場合は、特定できる書面が残っていない場合などもありますので厄介です。

    被相続人が返済などをしている場合は、預金通帳の取引明細や、領収書、振込票などで確認
    できますが、連帯債務や連帯保証債務で主債務者が返済を続けている場合には、確認でき
    ない場合もあります。

    被相続人の友人知人などから聞き取りをしたり、何か証拠になるものを「紙の精査」で発見す
    る以外、有効な方法は今のところないと言っていいかもしれません。

  動産類の確認

    動産はそのままの状態が現状になりますから、品名や数量などを確認してください。

    自動車や船舶など登録制度のあるものに関しては車検証や船舶検査証などで現状確認す
    ることが可能です。

  ※相続財産の評価

  相続財産がある程度特定できたら、次はそれを金額に引きなおす作業をします。

  預貯金や現金などは(多少の利息はついてるとはいえ)ほぼそのままの金額ですから、特に
  問題になることはないでしょうが、不動産や有価証券、高価な動産などは、評価が重要にな
  ります。

  不動産の評価

    不動産(主に土地)は「一物五価」といって一つの不動産に対して5つの値段(価格)が存
    在します。

    実勢価格、公示価格、基準地価格、路線価額、固定資産税評価額となりますが、相続にお
    いては実勢価格を基準にします。

    ただ、実勢価格の特定は非常に難しく、最終的には土地評価の専門家である不動産鑑定
    士による鑑定価格を基準とせざるを得ない。

    しかし、これには高額な鑑定費用かかるという点や評価する鑑定士によって価格が違ってく
    る可能性もあるので、周辺の不動産の価格に詳しい不動産屋さんで相場の価格を聞き取り、
    公示価格や路線価額などと比較検討するという簡便法を用いることもできます。
    (ただし簡便法はあくまでも簡便法であり、相続人全員がそれで納得することが、条件となる)

  有価証券の評価

    取引相場のある有価証券の場合は、その相場価格が基準になります。

    しかし相場がない場合は、非常に厄介です。

    この場合は、税理士や公認会計士といった専門家に任せるべきでしょうね。

  ※生命保険金、死亡退職金、弔慰金などの取扱い

  生命保険金について 

    保険金の受取人が特定されている場合

    生命保険金は契約によって受け取るので基本的には相続と別次元の話です。

    つまり生命保険契約によって特定された受取人が、保険金を受け取るということに関しては、
    税法上はともかく民法上は相続とは全く関係のない問題です。
    (税法においては“みなし相続財産”として相続税の課税対象になる場合もある)

    ただしこういう場合は、保険金の受取人は“特別受益者”とみなされ、保険金は持ち戻しの
    対象になる可能性もあります。

    保険金受取人が「相続人」となっていた場合

    保険金の受取人が個人を特定せず、単に「相続人」となっていた場合も、これは相続財産と
    されません(民法上は)。

    その場合は、相続人全員に受取権があるものとされ、分割は法定相続割合によらず、相続人
    の人数頭割りの均分ということになります。
    (相続財産ではないから法定相続割合は適用できない、という理屈)

    受取人が指定されていないとき 

    特定されてもおらず、「相続人」となっていない、例えば受取人が「本人」になっていた場合。

    この場合は「保険約款」に従うことになりますので、約款の当該箇所を精査してください。

  死亡退職金、弔慰金について 

    被相続人が在職中に死亡した場合には、死亡退職金や弔慰金が支給される場合があります。

    この死亡退職金や弔慰金も原則相続財産とはなりません。

    法令や企業内規によって受給者が決まっている場合はもちろん、そうでない場合にも、受け取
    る遺族の固有の権利であるとして、相続財産の範疇にはいれません。

    
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